色には人の気分を変える効果があり、集中力アップ、気持ちの沈静化、気分の高揚など家庭内、職場での精神コントロールに生かせます。カラーセラピー資格を学んでおけば、カウンセリングやセラピーにもその知識が役立てられます。セラピーの現場に色からのアプローチを持ち込みたい場合にはカラーセラピー資格が重要です。
目次
色彩で心理コントロールできる
人間は昔から人間の好みに大きな影響を与えてきました。古代文化に関する研究や文献などによると、古代エジプトやアッシリア王国などでは、色鮮やかな芸術品を捜索したり、布地を染料で染めたりしていました。また金や銀など美しい発色をするものは宝飾品として古代から高い価値を持っていました。これらは色への嗜好は昔も今も変わらない事を示す例です。
しかし、色は単に好みにおいて大切な役割を果たすだけではありません。心理的な役割も持っています。色彩には大きな心理的効果があるため、使い方によっては生活を向上させることができます。色彩専門家のファーバー・ビレンによると、人間は自分では意識していなくても、色彩に富んだ環境に身を置く時と、くすんだ環境に身を置く時とでは異なるリアクションを示すようです。
自然界には単調な環境は存在しません。そのため子供は不自然に単調な環境に身を置くと、知能の低下すらきたすと言われています。また色によって人は元気になったり、ねたみを感じたり、不信感を感じたりします。さらに緊張度が高まったり、逆に落ち着く事もあります。感情に働きかける結果、人に購買意欲をもたらすことすらあります。
色によっては体感温度に影響をもたらすこともあります。例えば青い部屋にいる場合と赤い部屋にいる場合では、仮に療法の部屋の温度が全く同じであっても体感温度が数度違います。このように色の持つ心理的効果は非常に大きいため、色彩に関する知識を持ってそれを応用する事は、心理コントロールを行なう点で役立ちます。
カラーセラピーとは
色でストレスケアするもの
カラーセラピーでは主に悩みやストレスを軽減する事に重きが置かれています。生活してゆく中で、人は様々なストレスや悩みを抱えます。夫婦関係や親子関係、職場でのプレッシャーや人間関係、将来への不安、学校でのプレッシャーなど、ほとんどどの場所にも何かしら悩みの種があります。体が疲れていなくても、心理面でストレスがたまっていくと体調不良を起こしてしまうことがあります。そのため心のケアは現代において非常に重要なテーマです。
カラーセラピーでは、クライアントの悩みを理解した上で、気持ちを元気にするための色彩の提案を行ないます。例えば身につける服やアクセサリーの色彩を提案したり、家の壁紙やグッズなどの色彩を提案して、本人がリラックスできるためのサポートを行ないます。
その結果心のケアがされるだけでなく、最終的に身体的に良い影響が出ることすらあります。これは人間の心身相関の原理によるものです。心理的なストレス過多が体調不良を起こすように、感情面での健康は体の健康につながります。
環境の色で潜在能力を高められるかも
色には不思議な力があります。一説には人が入手する情報の9割近くが色とも言われています。色は人の行動に潜在的な影響を及ぼします。例えば自動販売機では通常、暖かい飲み物のボタンが赤かったり、「あたたか~い」と赤文字でポップが表記されていることがあります。
そして、冷たい飲み物のボタンは青かったり、「つめた~い」と青色ポップが表記されていたりします。しかし、仮にそれぞれの色を入れ変えた場合、つまり「あたたか~い」を青色で表記して、「つめた~い」を赤色で表記した場合、一瞬混乱してどちらを買えばよいのか分からなくなってしまうでしょう。色は私たちの脳裏に一定の影響や刺激を与えるため、潜在的な行動も少なからず左右する事があります。
例えば部屋の壁の色を黄色にした場合、頭が活性化したり集中力が上がったりすると言われています。さらに判断力やイマジネーション力を高めるとも言われてます。
勉強を多くしなければいけない受験生などは、一面ではないにしても黄色を使って部屋の色彩を意識すると良いかもしれません。また青も同じく集中力アップには役立つとされています。橙色は社交性を高めてくれると言われています。そのため身につけるものの中に橙色のものを入れる事で、コミュニケーション能力をアップできる可能性があります。色は潜在能力を高める可能性もあれば低める可能性もあります。
例えば、名古屋大学の八田博士の研究では、パソコンモニターのフレームを赤にした結果仕事の効率が下がったようです。このように赤は意欲やパフォーマンスを削ぐ可能性がある色とされています。そのため学習机やデスクに赤が目立つものを置くのは避ける方が賢明かもしれません。このように色は潜在能力に影響を与える力があるとされているため、カラーセラピーでは悩みやストレス緩和だけでなく、能力向上のアプローチも行ないます。
色彩による心理コントロール例
真っ赤な部屋では情熱的に
色彩による心理コントロールの例を具体的に見てみましょう。まずは赤です。赤は可視性が非常に高い色です。遠くから認知するのが容易であり、活気を与える作用があります。体の機能を刺激する傾向も持ちます。「色彩とデザインの技術」という著書によると、赤い光は脈拍を早めたり、血圧を上昇させたりします。
そのため赤をふんだんに取り入れた部屋に身を置いた場合、情熱的な雰囲気や気持ちが生まれやすくなります。さらに成功やアクティビティーを渇望する色でもあるため、自分を奮い立たせるために使える色です。ただし悪く言えば赤は衝動的な状態にするリスクもあり、使いすぎると緊張を生むかもしれません。
そのため赤一面の壁紙で部屋を覆うなど行きすぎないように気を付ける必要があります。実際赤は注意喚起の色として危険を知らせるサインとしても使われています。
水色の空間では気持ちが落ち着く
薄い青は青空また川や湖水を連想させ、安らぎを与えます。青は鎮静作用のある色で、青い光は脈拍を遅くしたり血圧を下げることが知られています。青には副交感神経を刺激する作用があると考えられています。
副交感神経はリラックス感を演出する役割があります。水色のパステルカラーの空を見ていると悩みが吹き飛ぶような気持ちになりますがこれもそれが関係しているかもしれません。緊張のない静かな生活を目指している方は、水色を積極的に家庭に取りこむと良いでしょう。
緑色の空間では心が穏やかになる
緑は上記の赤とは対照的に、気分を落ち着かせる色です。心に安らぎを与えるため静穏色と言えるでしょう。実際緑が豊富な庭園や丘、山々などが見える場所にいるとリラックスした気持ちになります。森林浴という言葉もありますが、緑は心を穏やかな状態にしたい方にはうってつけの色彩と言えます。
深い緑だけでなく薄緑も穏やかな色です。戸外を連想させて緊張のない静かな生活を醸し出してくれるでしょう。都会など自然が少ない場所に住んでいる方は、積極的に室内プランターなどで観葉植物を揃えるのも良いでしょう。ちなみに一説では、新陳代謝を緩やかにするという身体的影響もあると言われてます。
心理的にあまり良くないカラー
黒色ばかりの部屋・空間
心理的に良い色もあれば良くない色もあります。いくつか具体例を見てみましょう。まずは黒が多すぎる部屋や空間です。黒には威厳や確固とした意志、落ち着き、頑丈などといったイメージがある色です。スーツなどに見られるようにビジネスの場でも多用される色です。
認知しやすいため文字は多くの場合黒い筆記用具で書きます。高級感が出るため家電製品にも黒は多用されます。さらに黒のドレスは女性のフォルムをより美しくします。このように黒は使い方によっては有効です。
葬式で黒が使われることを考えても、暗い印象を与えかねません。壁紙一面を黒にしたり、デスク周りが何もかも黒ではやる気も阻害されてしまうでしょう。そのため黒はアクセントとして使う程度にしておくと良いでしょう。
紫色・緑色・黄色のような色合いの空間
緑に関する注意点として、緑がかった黄色はあまり良くない色とされています。この色を見ると、病気や臆病やねたみ、不信を連想する人が多いからです。黄色単体では太陽が連想され、快活で陽気な気持ちになります。緑も単体では静穏色です。しかし、組み合わせによってはこのように逆効果になるため注意しましょう。
紫色にも注意が必要です。紫色は高貴の色として昔から親しまれていますが、周りの色によっては下品な雰囲気を醸し出すこともあります。紫は体調不良の時に体に発色する色であり、卑猥な印象を与えることすらあります。そのため多用は禁物です。小物に使うのは良いとしても全体をカバーする色としては不向きと言えます。
白色だらけの空間も落ち着かなくなる
色の中でも人気が高いのが白です。白はしばしば光や安全、美しさ、清浄、正しさと関連づけられます。白が人格的な側面と結びつけられることもあります。潔白という言葉はまさにそのその象徴と言えるでしょう。ただし白を部屋に使いすぎるのも考えものです。確かに白は膨張色のため空間を広く見せる効果があり、清潔な印象を与えます。
しかし、真っ白過ぎる部屋は空虚感を感じやすいとも言えます。また光の反射が高くなって疲労感を覚えやすいとも言えるでしょう。また汚れが目立つため、ちょっとした汚れで注意が散漫になる可能性もあります。そのため壁紙だけを白かアイボリー調にするなど、使いすぎを押さえる工夫をしましょう。
カラーセラピーで空間心理も学べる
カラーセラピー講座を受講したりカラーセラピー資格を取る過程では色について多くのことを学びます。色の特性やその心理的効果について学ぶにつれ、色の調和や生活の場における色の使い方などにも詳しくなることができます。そのためストレス緩和や潜在能力の引き出しといった分野だけでなく、空間心理についても見識が広まるでしょう。
例えば先ほどの白の心理作用についてですが、白は膨張色であるがゆえに心理的に空間拡大効果をもたらしてくれます。また青は涼やかな空間を演出して、赤は暖かい空間を演出します。カラーセラピーを学ぶ事で空間心理に詳しくなり、空間デザインスキルも身に付けられます。
カラーセラピー資格で生活環境も改善できる
カラーセラピーは今後関心が高まる分野の一つと言えます。まだカラーセラピーの知名度はそこまで高くはないですが、色彩の持つ効果は少しずつ認められていると言えます。例えば街灯を青色にして犯罪率を少なくするなど、実利的な面も注目されています。
冒頭のファーバー・ビレンによると、「色は自然界に見られる、この世の楽しみのひとつ」です。また「幸福な生活は色に大きく依存してい」ます。そのためカラーセラピーを将来の仕事の一つとして選択することは良い選択肢の一つと言えるでしょう。まずはカラーセラピー資格を取得して基本・応用知識を身につけ、ヒーリングサロンなどで実務経験を積むと良いでしょう。
これらの資格は在宅受験で取得可能だり、試験も頻繁に開催されていておすすめです。また対応講座もあります。諒設計アーキテクトラーニングの「カラーセラピー3資格取得講座」です。この講座を受講した方は、これら3つの資格を同時取得する事が可能です。より詳しい内容については公式サイトを確認してみてください。